人のタイプ別攻略法

年齢を重ねて、色々な人と話したり、友達になったり、一緒に働いたりという経験を積み重ねていくと、新しく会う人を無意識にでもどこか類型化してしまうことはないだろうか。私はわりとよくあって、顔のタイプでの類型化もするが、人となりを見てグループ化することが多い。これがうまくできると、過去の経験からその人の性格上の特徴を踏まえた上で人づきあいができることになって(この人は何をしたら喜ぶ、何をやったら怒るとか)処世術のスキルがアップする(気がする)。

 

最近類型化に成功したのが亭主関白タイプである。昔の同僚を見ていて類型化に成功したもので、実際に奥さんに対してどういう振る舞いなのかは人様の家庭のことなのでわからないのだが、普段の立ち居振る舞いからたぶん家でもそんな感じなんだろうなということでこう名付けた。

特徴は、「これやっときました!」とその人をもち上げるような形で仕事をやっておいてあげて報告すると、ニヤニヤっと嬉しそうな顔をすることだ。このタイプは、意図的なのか無意識のうちになのかは別として、人に仕事をやらせて自分が楽できる状態になることを目指して行動する習性がある。仮にサラリーマンだとすると、やらなければ自分の評価に直に響いてくる仕事はそつなくこなすが、誰かが必ずやらなくてはいけないが評価に明確に響くわけではない仕事については誰かがやるまでうまくやり過ごすのが特徴。

こういう人に好かれたいのであれば従順なザキヤマ感(舎弟感)を出せばいいので付き合い方はある意味で簡単なのだが、従順な舎弟認定をいただき好かれてしまうと勤務時間内外問わず色々と押し付けられる可能性があるので、遭遇した場合仕事をこなす上で必要最低限を除いては距離をとるのが正解だと思っている。

仕事を自分以外にやってもらいたい場合、言わないでも部下とかが進んでそれをやってくれるような信頼関係があるのが言わずもがな理想だ。その信頼なり人望がないからこそなんとかして人にやらせる必要が出てくるわけだが、面倒くさくて人がやりたがらないことを自分の苦労を厭わずやってくれている人にこそ人は協力したいと心が動くのであって、自分の手は動かさず面倒なことを人にやってもらいたいだけの人に自発的に何かをやってあげようと人は思わない。このタイプはこの構造を理解していない、あるいは理解していても自分をなかなか変えられないところになんとも悲しい矛盾があると言えるだろう。でもたまにこのタイプで天然の人たらしキャラもいるので、これは何ともずるい人である。

 

赤ちゃんは泣くことで自分の意思を伝えて、ご飯なりおむつ交換なり誰かに動いてもらうしかないが、大人でも人に何かをお願いするとき1つのやり方しか知らない人は多い。多いのが、叱責することしか部下の動かし方を知らない上司だ。強烈で迷いのない指示は自分の実力への自信の表れとも言え、実際このタイプは仕事ができる人も少なくないように思うが、このやり方しか身に着けてこれなかったその人の今までの人生に思いをはせると他人事ながらちょっとした悲哀感がある。

こういうタイプは自分が反論を受けようものなら徹底的な倍返しがデフォルトだし、基本的に自分より格下と思う相手から意見をそもそも聞かない(聞く振りをすることはあるかもしれない)。一方、賢いがゆえに自分の昇進に影響力を持つ上司については非常に丁寧に接する習性があって、対応のそつなさとご機嫌取りのレベルが非常に高いことが多い。

対処法は、黙って素直に言うことを聞く従順なキャラを演じるか、熾烈な消耗戦は覚悟の上で反論すべきところは反論するかに分かれる。
前者の対応が上手くいって好かれることに成功した場合、その人の相手は楽になるがその人をあまり快く思わない人たち(マジョリティであることが多い)には「あいつイエスマンじゃん」と評されてしまう可能性がある。後者の対応だとその人の相手は非常に困難で色々消耗するものになるが、一部の人から骨のあるやつだと評され株が上がるかもしれない。
社交性に富む人であれば、その人を飛び越しさらに上の人、人事上大きい影響力を持つ上の人と良好な関係を築き、その権威をうまく利用しつつのお付き合いなんてのも良いオプションだと思う。

 

自分が損しないようにポジション取りできる能力は大事だ。

プロジェクトへ大して貢献もしていないのに最後だけひょこっと現れて手柄だけかっさらう人はどこにでもいる。こういう人は基本的に頭がいいし何より要領が非常によくて、人へのアピールがとても上手なのでプロジェクトの実情とかを把握していない人はころっと騙されていることがある。プロジェクトの中にいた人はもちろんみんなわかっているので、そういう第一次情報を持つ人たちが周りに伝えることを怠らないことが大事だ。

伝え方で真実なんていくらでも歪められるもので、その事実に辟易することも多い。それでも第一次情報を持つ人が諦めてしまい、いいようにさせていると、基本的に罪悪感など感じていない(人から評価をかっさらっている自覚がない)人なのでその人の人生の中で同じことをまた繰り返していく可能性が高い。同じような嫌な思いをする人が今後出ないよう、「中身があること」と「伝え方が上手いこと」は別物と割り切り、伝え方だけで勝負している人に伝え方でも負けないようにしてほしい、ものだが、
ただこのタイプも、この「上辺だけで中身のないやり方」が見破られて通用しないことになると今までそれで通してきた人生である故その人の人生そのものの否定になりかねない(ことを自分でもどこかでわかっているのだろう)ため、明確な対立スタンスをとると(その人が自分自身を守るための)猛烈な攻撃を受ける可能性があるので、自分が嫌な思いをしないための細心の注意が必要になることがある。