変化はじわりと

この時期に免許の更新のタイミングが重なってしまい、更新手続きに行ってきた。

更新手続きの期限延長もできるとのことだったのでどうするかしばし考える→延長申請をするのにも窓口に一度行かなくてはならないとのことだったのでそれなら一度で済まそうと思う→延長申請の郵送受付も対応可になったと聞きそれならどうしようとまた考える→延長したからといって数か月後事態が収まっている保証はどこにもないし、逆に延長した人の分申請予備軍が増え窓口が混雑する可能性が高まる→それらすべてを解決する「ウェブで全て更新手続き終了」みたいな制度変更も、そうなるまでさらに更新手続きを待ってくれる柔軟な対応も、役所だとまず期待できない→であるなら今のうちに行ってしまおうと。

自分と同じように考える人の存在や、仕事もなくなって時間がある人が増えているだろう状況とかで逆に混んでいるんじゃないかという懸念も少しよぎったが、結果的にはそんなに混んでいなくてよかった。
おそらく以前は閉め切った個室でやっていたのであろう講習を、空間的にはロビーと一続きになっている換気の良いスペースに変えるなどの工夫はあり感染予防の意識は感じたが、受付→手数料支払→視力検査→写真撮影→講習のそれぞれの待ち時間のためのスペースがあまり広くなくて、申請者同士のいわゆるソーシャルディスタンスを常に確保できるようなオペレーションの準備はなかった。私の時はすいててまだよかったが少し混む曜日の混む時間帯だと「不特定多数が密に集まっている状態」をつくりかねず、そりゃ行政がこのレベルの意識だと民間事業者のソーシャルディスタンスの対策も徹底されるわけないよなと近くのスーパーの様子を思い出し納得してしまった。

更新講習を受ける部屋の、社会的立場も様々な老若男女がたまたま集まった感は非日常を感じてなんとなく好きなんだけど(ガンツをイメージしてしまう。あと多様性で連想するのはちきりん氏の文章)、「受付→手数料支払→視力検査→写真撮影→講習」というシンプルなオペレーションがなぜ今も対面でなければならないのかはよくわからない。緊急事態宣言が出ている今でもこれだと、免許更新の場でクラスターが起きましたくらいの事件が起きない限り、ウェブで全て完結みたいなオペレーション改善は行われないのではないか。

 

311の後も世の中の多くの無駄なことがそのまま残っていて、あれくらいの危機が起きてなお変わらないのであれば、もうこの国は財政破綻くらいまで行かないともうこのままなんだろうなと思っていた。

でもこのツイートのとおり、たぶん変化というのは少しずつ起きるもので、少しずつだけど確実に世界は良いものになっているというのは確かな現実なんだと思う。例えば今後テレワークは文化として根付くだろうし、ウイルスとの共生という今まで一般の人がほとんど意識してこなかった課題に多くの人が関心を寄せるようになり、それに伴い今回のコロナ終息後も少しずつ世界は変わり続けるだろう。

GOVTECHは少しずつでなく劇的に進行する世の中であってほしいけど。GOVTECHで個人的に注目しているのはこの会社。

graffer.jp

 

 


The next outbreak? We’re not ready | Bill Gates

 

このビル・ゲイツ氏の2015年TEDでの講演は今の状況をまるで予言したかのような内容で、もうだいぶ前から話題になっている。危機が起きてからではなく危機が起きる前に本当に賢い人の視点で取り組むべきことに着手しておくのが理想ではあるのだが、現実はそうでなかったのが今回明らかになってしまった。

ただ、単に人々が怠惰であり続けたからこうなったというわけではないと思っていて、むしろ大半の人々は目の前のことに非常に真面目に取り組み、社会が滞りなく回るよう日々働いていると思っている。大事なのはリーダーたちが大局観を常に持ち先を見据えた判断、行動を行っているかいないかのはずだ。

別にリーダーの立場にないごく普通の人でも、それこそ部分から全体を類推する力を備えていれば普段の仕事を通してでも「このままじゃいつかマズイ状況になる」と気づくことがあるはずだが、手持ちの仕事を抱えながらそこに切り込んで問題分析、問題解決まで繋げていくのは簡単なことではない。けど、空気を読みすぎて自分が空気になり、少しずつ起きているあるべき変化のため小さな貢献もできていないような人生にならないよう、小市民ながら生きていきたいとは思う。